交通事故事件では、被害者は自己の受けた損害の補償を受けるために、加害者や加害者加入の保険会社(又は弁護士)と交渉しなければなりません。しかし、通常、交通事故の被害者は交通事故に関しては素人ですから、上手く交渉等をすすめることは困難です。特に交通事故で争点が多いようなケースでは、被害者が自分で行えば後悔するようなことにしかならないでしょう。しかし、専門家である弁護士を使おうにも費用がかかります。弁護士費用特約を自分の加入している保険につけているのであれば、弁護士費用の心配はなくなりますが、そうでなければ、弁護士費用の負担が問題になります。その場合に金銭的な余裕がなければ、弁護士を使用することができず、被害者は困窮する事態になりかねません。
そこで、金銭的に余裕のない人のための制度として、法テラス(日本司法支援センター)を利用することが考えられます。
1 法テラス
経済的に余裕のない人のために、弁護士費用を立て替えてくれますので、利用者は一月に1万円か5000円を返還していくことになります。交通事故でも利用することが可能です。但し、収入要件等がありますので、すべての人が利用できるわけではありません。
当事務所の所属弁護士は、法テラスと契約していますので、法テラスの民事法律扶助の手続きを代行して活動することが可能です。法テラスについては(法テラスのリンク)へ
2 当事務所の交通事故事件での費用
当事務所の交通事故事件の費用については、詳しくは費用のページへ。基本的に着手金なしで、回収できた金額から報酬を頂く形にしていますので、金銭的な余裕がない場合でも、法テラスを利用することなく、当事務所が活動することはできます。
3 損害賠償請求以外で法テラス
交通事故で、法テラスが関わることがあるのは民事の損害賠償請求の問題だけではありません。交通事故の内容が死亡等の重大な結果が生じた場合には刑事事件になります。その刑事事件のうち一定の事件では被害者が関わることのできる被害者参加制度がありますが、この場合にも法テラスを経由して弁護士費用の立替を請求することができることがあります。なお、被害者参加制度については詳しくは交通事故における被害者参加制度へ。
(1)国選被害者参加制度
被害者参加制度を利用する被害者等に金銭的な余裕がない場合、法テラスを経由して手続きを行い、裁判所が被害者参加弁護士を選定し、国がその費用を立替する制度です。
(2)資力要件
手続きを利用しようとする者の資力(現金や預金等の合計額)から、問題となっている犯罪行為を原因として、被害者参加弁護士の選定請求の日から6か月以内に支出することとなると認められる費用の額(治療費など)を差し引いた額が200万円未満である場合という要件があります。
交通事故で損害を被り、事故の責任を加害者に対して追及しようとしても、被害者本人が一人で行うには困難で後悔することが多いでしょう。専門家である弁護士に頼もうにも金銭的に余裕のない人には、法テラスといった機関がありますから、まずは一端相談してみるべきです。(弁護士中村友彦)
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