神経学的所見1
MRI画像等に異常所見がなくても、神経学的所見に異常があれば、後遺障害等級14級9号などの認定の可能性があります。ですので、主治医に下に述べる検査を行ってもらい、診断書やカルテに記載してもらうようにしましょう。
1.スパーリングテスト
神経根障害を調べる神経根症状誘発テストです。神経根に障害がある場合は、頭を後ろに傾け、そのまま右や左に動かして神経根の出口(椎間孔)が狭まった結果、その間を通る神経根が刺激され、その神経根の支配領域に放散痛・痺れ感が生じ、被害者は普段の症状の再現や増強を訴えます。
痺れを訴えれば+(陽性)、そうでない場合は-(陰性)と診断書等に記載されます。
2.ジャクソンテスト
スパーリングテストと同じ神経根症状誘発テストです。患者の頭部を後にむけ、検査する人が、おでこのあたりに両手をのせ押して、首をさらに後ろに曲げた際、頸部の疼痛、頸部屈側の頸背部、上肢への放散痛やしびれ感が生ずるか否かで神経根症を確認するものです。
痺れを訴えれば+(陽性)、そうでない場合は-(陰性)と診断書等に記載されます。
3.ショルダーデプレッションテスト
スパーリングテストと同じ神経根症状誘発テストで、頭部を圧迫することにより神経根の出口(椎間孔)を狭めることによって神経根の障害を確認するテストです。患者の頭を痛くない方に傾け、頭とは反対側の肩を押し下げます。痛みや痺れが誘発されれば、神経根が障害されていることを推測することができます。
痺れを訴えれば+(陽性)、そうでない場合は-(陰性)と診断書等に記載されます。
4.握力検査
握力検査は、頸椎捻挫でよく行われる神経学的検査です。握力は性別・年齢・職業で個人差が大きいですが、通常利き手のほうが握力が強いのが一般的です。もし、利き手のほうの握力が反対の手より極端に弱いようであれば異常と考えることができます。
5.筋委縮検査
麻痺が続くと筋は委縮していきます。筋萎縮とは、骨格筋が量的に減少することであり、筋萎縮の検査は、左右の筋肉の状態を視診、触診あるいは周径を測って調べます。
計測した部分がやせ細っていれば、有効な他覚所見になります。
6.知覚検査
知覚検査は試験管・筆・針などを使って、被検者の皮膚に刺激を与えて触覚や痛覚に異常がないか調べる神経学的検査です。
触覚・痛覚ともに、過敏、正常・鈍麻・消失の四段階で評価され、異常がある箇所は皮膚分節図(人体図)に斜線で記入されます。
知覚検査の対象は、表在知覚・深部知覚・複合知覚がありますが、医療の現場では、筆を使用して表在知覚のみ検査するのが一般的です。