交通事故で賠償されるべき損害
実際に支出した治療費等、仕事を休んだため得られなかった収入(休業損害)や障害が残ったため得られなかった収入(逸失利益)、精神的苦痛にたいする慰謝料、弁護士費用(裁判で損害として認められた額の1割程度)、遅延損害金(年利5%)などがあります。
具体的には以下のようなものが損害として認められます。
1 実際に支出したもの(積極損害)
(1)治療費
診察料・検査料、入院料など、治療にかかった費用です。
(2)文書料
医師の診断書、交通事故証明書などを作成するための費用です。
(3)入院特別室料
一般の室料の多くは、入院料に含まれますが、治療の必要性から個室を使用した場合などは、特別室料を損害として請求できます。
(4)入院雑費
入院によってかかった諸雑費です。日常雑貨品費、栄養補給費、電話代等の通信費などがありますが、煩雑な計算を避けるため、定型的な扱いがされています。
だいたい裁判基準で一日つき1400円~1600円(自賠責では1100円、任意保険でも自賠責と同じくらい)です。
(5)付添看護費
親族が付添った場合、1日につき一定の額5500円~7000円(自賠責基準では4100円、任意保険基準でも同程度)が請求できます。看護師などを雇った場合は、実費を請求できます。
(6)通院交通費
実費を請求できます。必要であると認められれば、タクシー代も請求できます。
(7)通院付添費
怪我の態様など、被害者が単独で通院することが困難で他の人の付添いをしてもらったときは、1日につき3000円~4000円(自賠責基準では2050円、任意保険基準も同程度)を請求できます。
(8)温泉療養・マッサージ・針灸の費用
医師の指示があり、治療のために必要とされれば、認められます。
(9)その他
後遺障害が残ることから、家をバリアフリーに改築した費用等々、必要性が認められれば、実費を請求できます。
2 事故がなければ得られたはずのもの(消極損害)
(1)休業損害
休業損害とは、交通事故により受けた傷害によって、休業した場合、その分の収入を補償するものです。
(2)逸失利益
交通事故により後遺障害が残った場合、仕事ができなかったり、制限されたりすると、そのような後遺障害がなければ得られたはずの収入が失われます。後遺障害があるために失った、被害者が将来にわたって得られるはずであった利益のことを後遺症による逸失利益といいます
3 慰謝料
生命や財産権等の権利を侵害された者の精神的苦痛に対する賠償です。交通事故の場合では、(1)入通院慰謝料(2)後遺障害慰謝料(3)死亡による慰謝料(4)近親者の慰謝料などがあります。物損だけの場合は、基本的に慰謝料は認められません。