神経学的所見4
13.腹壁表在反射
表在反射とは、粘膜や皮膚に刺激が加わり、筋肉の反射的収縮が起きることです。腹壁表在反射とは、先の尖ったもので腹壁を外側から体の真ん中に向けてこすると腹壁の収縮により、おへそが腹壁側に移動することです。この反射が、減弱・消失時は、錐体路障害、中枢神経障害が疑われます。
(1)へその上側の腹壁(2)へそと同じ高さの腹壁(3)へその下側の腹壁の3つの高さで調べます。
14.挙睾筋反射
表在反射の一つであり、先の尖ったもので、大腿内側を上から下へ向けてこすると、同じ側の挙睾筋により睾丸が挙上するというものです。この反射が消失時は、錐体路障害、中枢神経障害が疑われます。
他にも表在反射には、足底反射(バビンスキー反射と異なり足指が屈曲する)や臀部反射などがあります。
15.ラセーグテスト
坐骨神経伸展テストのことです。平らな場所に仰向けに寝た状態で、検査する足の膝を曲げた状態で上にあげた後、まっすぐに伸ばしていきます。膝を伸ばした時に痛みが生じる場合、椎間板ヘルニアなどの神経根圧迫が疑われます。
坐骨神経は、腰髄神経のL4・L5および仙髄神経のS1・S2・S3の神経根で構成されており、障害があれば陽性とされます。
16.SLRテスト
下肢伸展挙上テストです。ラセーグテストと同じく坐骨神経の障害を検査するもので、検査方法も似ています。
平らな場所に仰向けに寝た状態で、検査する足をまっすぐに伸ばしたまま上にあげていきます。正常であれば、70度以上になりますが、坐骨神経に障害がある場合は、大腿・下太腿の後面に痛みが生じ、50度を超えてあがりません。
陽性の場合は何度から+というように検査結果が記載されます。
17.ブラガードテスト
SLRテストと併せて行われ、SLRテストの結果を裏付けるものになります。SLRテストで痛みが出た角度より5度程度下げた状態で、足関節を背屈させ、坐骨神経をさらに伸展を行います。これによって坐骨神経が誘発されたなら陽性で、腰椎椎間板ヘルニアなどが疑われます。
18.FNSテスト
大腿神経伸展テストのことであり、腰髄神経L2・L3・L4の神経根障害を見る検査です。上位腰椎椎間板の病変で疼痛が生じます。
検査者はうつぶせになって顔を検査者側に向け、膝を90度に曲げ膝関節を伸展するように持ち上げる検査です。
鼠径部や股関節の痛みに加え、大腿前面に痛みがでれば、L3の神経根の圧迫が疑われます。大腿前面から下腿部前面に痛みが出る場合は、L4の神経根の圧迫が疑われます。