対人賠償保険・対物賠償保険
対人賠償保険、対物賠償保険は共に任意保険です。「対人賠償保険」は、被保険自動車の所有・使用等によって生じた人身事故により、被保険者が法律上の損害賠償責任を負う場合に保険金が支払われるという責任保険です。「対物賠償保険」は、被保険自動車の所有・使用等によって生じた事故により、他人の財物を毀損等したため、被保険者が損害賠償責任を負う場合に保険金が支払われるという責任保険です。
1.対人賠償責任保険
強制保険である自賠責保険に対する任意保険である以上、一番中心となるのは、この対人賠償責任保険です。自賠責保険は、保険金の支払金額の上限は定まっていますから、その上限を超えた部分を被保険者たる加害者が支払っても自賠責保険からは保険金が支払われないです。
そこで、その足りない部分を補うものとして、非常に重要な保険なのです。
(1)被保険者
自賠責保険が保有者と運転者に限定されるのに対し、対人賠償保険の場合は、だいたい以下の人が被保険者になります。
- 記名被保険者
- 配偶者
- 記名被保険者又は配偶者の同居の親族
- 記名被保険者又は配偶者の別居の未婚の子
保険契約によっては、被保険自動車の使用を記名被保険者から承諾を受けている者なども入ります。
(2)請求できる者
自賠責保険と同様に、被保険者だけでなく、被害者からもできることが通常です。被害者の保護のために約款で定められています。
(3)注意すること
- 自賠責保険と異なり、過失相殺は通常通りなされるし、因果関係の認定が困難の場合に50%の限度で損害を認めることはありません。
- 加重責任負担契約の免責の規定があれば、保険会社の知らないところで高額の示談をしても、保険会社が支払いを拒否することもあります。
- 親族間の事故では適用がないことがあります。
2.対物賠償保険
自賠責保険は、人身事故にしか適用がありませんから、物損事故の場合には、自賠責保険では、何も補償はされません。そこで、物損についても、補償を受けるために重要なのが、対物賠償保険です。
(1)被保険者
対人賠償保険と同様です。
(2)請求できる者
対人賠償保険と同様に、被保険者だけでなく、被害者からもできることが通常です。被害者の保護のために約款で通常定められています。
(3)注意すべきこと
- 対人賠償保険と異なり、示談代行サービスがついていないことがあります。ですので、対物保険の部分だけ自分で交渉しないとだめなこともあります。
- 対人賠償保険に入っていても、対物賠償保険には入っていないことが多いです。
- 免責金額の有無の点で対人賠償保険とは異なることがあります。