車両保険
車両保険とは、自分の車両が交通事故で壊れるなどして、損害を被った場合、車の修理代を補償してくれるという保険です。通常、自動車の交通事故で問題となる任意保険というと、対人賠償補償保険や対物賠償補償保険を思い浮かべると思いますが、対人賠償補償保険や対物賠償補償保険は、交通事故を起こした場合に、加害者が被害者に対して負う損害賠償の負担を担保するものです。しかし、加害者が、対物賠償補償保険に入っていないばかりか、車の修理代の弁償するお金もない場合には、被害者は困ってしまいます。そのような場合に、自分の車の修理代を補償してくれるものとして、被害者が加入する保険です。
その内容は、様々な種類のものがあり、事故の仕方によっては、せっかく車両保険に入っていても保険金がおりない場合もあります。
1.対象となる事故
交通事故、物の飛来・落下、火災、爆発、盗難、台風、洪水、高潮その他偶然の事故によって被保険自動車に生じた物理的損害を填補します。災害のうち、地震、噴火、津波による損害については填補されないのが原則ですが、特約により填補される場合もあります。
2.支払われる保険金の額
損害が発生した時の被保険自動車の価格、当該自動車と同一車種、年式で同じ消耗度の自動車の市場販売価格相当額を基準とします。実損以上の填補や、代車費用・休車損害については、填補されないのが普通ですが、特約により填補される場合もあります。
3.保険の対象物
被保険自動車に定着・装備されている付属品も含まれますが、違法に装備した物や装飾品などは含まれません。
4.一般的な免責事由
故意免責、無免許運転、酒酔い運転などが定められているのが通常です。
5.車両保険を使用する場合
交通事故で車両保険を使うと、翌年から保険の等級がさがり、保険料が高くなります。等級とは、交通事故等を起こさないで運転をしている人であれば、毎年等級が上がり、保険料の割引率が大きくなり、どんどん保険料が安くなるという制度です。しかし、事故を起こして保険使うと、一部の例外を除いて、1回につき3等級下がってしまいます。この保険の等級は、保険の更新時に保険会社を変えた場合でも引き継がれますので、交通事故後、車両保険を使用して等級が下がったとして、保険会社を変えても意味はありません。
ですので、加害者の対物賠償保険等で填補できる場合には、まずそれらを使用するべきであり、車両保険の使用は後回しにすべきです。ただ、被害者の方にも交通事故について過失がある場合等には、車両保険を使用するメリットはあります。