弁護士会の紛争解決センター・民事調停
1.弁護士会の紛争解決センターとは
民事上の紛争を柔軟に解決することを目的とし、「仲裁センター」「ADRセンター」といった名前で呼ばれています。弁護士が斡旋人となり、当事者双方がそれぞれの主張を出した上で、和解の斡旋を行います。
交通事故の損害賠償事案を特に扱う専門機関というわけではありませんが、交通事故も扱っており、以下のような特色があります。
特色1 | 自転車対自転車や自転車対歩行者の事故も扱い、自動車事故に限られません。 |
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特色2 | 当事者が斡旋人を候補者名簿の中から選ぶことができます。 |
特色3 | ADR法に基づく法務大臣の認証を受けている紛争解決センターもありますから、認証を受けている紛争解決センターへの和解斡旋の申立ては時効を中断する効力有します。 |
なお、費用は申立手数料(1万5000円など)・期日手数料(期日ごとに支払う・50000円ぐらい)、和解が成立した場合の成立手数料があります。成立手数料の当事者の負担割合は斡旋人が決めます。
2.民事調停
民事調停とは、民事に関する紛争について、当事者の互譲により、条理にかない実情に即した解決を図ることを目的とする手続きです。その中でも、交通事故の損害賠償の争いでは、人損事故については特に交通調停として扱われています。車両損害などの物損についての争いは、一般民事調停で扱われます。
(1)どこで申立てるか
- 交通調停(人損の争い)
相手方の住所、居所、営業所もしくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所または当事者が合意で定めた地方裁判所もしくは簡易裁判所、損害賠償を請求する者の住所または居所の所在地を管轄する簡易裁判所に管轄があるので、それらの裁判所のどれかに申立てます。
- 一般民事調停(物損の争い)
相手方の住所、居所、営業所もしくは事務所の所在地を管轄する簡易裁判所または当事者が合意で定めた地方裁判所もしくは簡易裁判所に管轄があるので、それらの裁判所のどれかに申立てます。
(2)調停の特色
- 調停調書の記載は確定判決と同一の効力を有します。
- 申立手数料が訴訟に比べて安いです。
- 調停申立には時効の中断の効力があります
- 調停不成立の場合、その通知を受けた時から2週間以内に訴えを提起したときは、調停申立ての手数料の額が訴訟の額から控除されます。
(3)相手方が調停に来ない場合はどうなるのか
正当な事由なく出頭しない場合、過料の制裁がありえます。ただ、相手が来なければ、裁判所が調停に代わる決定をしない限り、調停が不成立として終了します。その場合、訴訟等の他の手続きを利用することになります。