日弁連交通事故相談センター
日弁連交通事故相談センターは、日本弁護士連合会が設立した財団法人です。日本弁護士連合会が設立したことから、運営は弁護士が行っています。国からの補助金と寄付金で運営され、全国で164箇所で相談を、39箇所で和解斡旋および審査を無料で行っています。
1.業務
和解斡旋(示談斡旋)、和解斡旋が不調に終わった場合に審査を行います。
2.和解斡旋(示談斡旋)の対象事案とは?
以下の要件を満たすものである必要があります。
自動車事故事案であること
原則として加害者加入の任意保険会社からの賠償額の提示書面が交付されていること
3回程度の期日で結論が出せること
人損事故か人損を伴う物損事故であること。物損のみであれば、賠償義務者が物損の示談代行付きの保険に加入している場合か、10の共済組合(全労災、JA共済連、中小企業共済など)のうちのいずれかの自動車共済に加入していること。
和解斡旋を利用するには、損害賠償額を算定できる状態であること。つまり治癒か症状固定していることが必要であり、さらに後遺障害がある場合には、自賠責保険における後遺障害等級の認定結果が出た状態であること。
事実関係や過失相殺について大きな争いがないこと
相手方が話し合いに応じる可能性があること
調停又は他の機関に係属中でないこと
3.利用のためにまず必要なこと
まず相談者が面接相談に来所し、相談担当の弁護士が和解斡旋をするに適当だと判断した場合、和解斡旋(示談斡旋)の申立ができます。弁護士が代理人となって申立てる場合は、面接相談をする必要はありません。
なお、相談担当の弁護士は、相談を受けた事案について、和解斡旋担当をすることは、公正中立の点からありません。
4.注意すべきこと
自賠責保険における後遺障害等級認定を尊重し、独自に後遺障害等級認定を行いません。
裁判基準を使用しますが、弁護士費用や遅延損害金はつけられません。
ADR法に基づく法務大臣の認証を受けていませんので、日弁連交通事故相談センターへの示談斡旋の申立ては時効を中断する効力を有しません。
任意保険会社の事案は審査手続きの対象外です。
5.審査委員会の審査
和解斡旋(示談斡旋)が不調に終わった場合、共済組合が加害者側の代行をしている事案では、被害者は審査の申出をすることができます。審査は、弁護士である審査委員3名で構成する合議制の審査委員会によって行われます。但し、審査を行うのに不適当不相当なものについては、審査をされません。
審査結果に対し、被害者が同意した時は、共済組合はその審査結果を尊重することになっています。