交通事故の損害賠償請求が問題になった時に、それを解決する手段は示談交渉・交通調停・交通事故紛争処理センターといったADR機関の利用や最終的な解決方法としての訴訟など、様々なものがあります。交通事故紛争処理センターの利用も交通事故の損害賠償問題の解決手段として、よく使われますし、当事務所も交通事故紛争処理センター大阪支部が徒歩圏内と近いこともあり、利用することがあります。
1 交通事故紛争処理センター
交通事故紛争処理センターは、交通事故(自動車に関する事故)の被害者と加害者が契約する保険会社又は共済組合との示談交渉で紛争が生じた際に、法律相談・和解斡旋などを無料で行ってくれる機関です。交通事故紛争処理センターの法律相談・和解斡旋の担当者は、交通事故問題に詳しい弁護士ばかりです。詳しくは交通事故紛争処理センターについて。
2 交通事故紛争処理センターの期日
交通事故紛争処理センターは利用申込者が多く、保険会社の担当者の予定ともあわせないといけないので、期日を入れにくい面があります。スムーズに行けば2週間程度で期日が入り解決することもありますが、1か月以上期日が入らないこともあります。
3 すべての交通事故の問題の解決に妥当とは言えないことに注意
交通事故紛争処理センターは、ほぼ裁判基準で慰謝料を算定してくれる等、交通事故の被害者側に有利な判断をしてくれます。しかし、交通事故の事案というのは千差万別であり、当事者が問題とする争点も様々です。過失割合の争いや、典型的ではない損害の争いでは、交通事故紛争処理センターは有用ではありません。保険会社側も、そのような事案では、交通事故紛争処理センターの利用に応じず、債務不存在確認の訴訟を起こしてくることもあります。
また、遅延損害金や訴訟の場合に認められる弁護士費用相当額として損害額の1割については、交通事故紛争処理センターでは認められません。
交通事故の問題解決に、どの手続きが最も有用かは慎重に判断しなければなりません。
4 交通事故紛争処理センターの利用を弁護士に依頼するメリット
交通事故の被害者は交通事故紛争処理センターに行かなくてもよく、代理人である弁護士だけで手続きをすすめることができます。必要な資料も和解斡旋を行う担当弁護士に分かりやすいように整理して提出しますので、話がスムーズに進みやすいです。また、交通事故の被害者の損害について見落としがないか、訴訟になった場合の見通しなどをもって手続きをすすめることができます。
5 当事務所が交通事故紛争処理センターの利用を受任する場合の費用
詳しくは、費用のページへ。大まかに書けば以下のとおりです。
相談料(1時間)無料・着手金無料・報酬後払い
(1)保険会社から既に金額の提示がある場合
提示された金額から増額した分の2割+消費税
(2)保険会社からまだ金額の提示がない場合
20万円+回収額の1割+消費税
(3)弁護士費用特約がある場合
弁護士費用特約がある場合には保険会社に請求しますので、通常の場合、費用負担はありません。
他の事務所は、示談交渉から受けて他の手続きに移行した場合、追加の弁護士費用が発生するところもあるみたいですが、当事務所は交通事故紛争処理センターで解決せず、訴訟に移行したとしても、追加の弁護士費用は発生しません。また、少額の事案でも、10万円程度(過去に当事務所が行ったもので示談交渉110万円から紛争処理センターで120万円)の増額しかないようなものでも、交通事故紛争処理センターの利用を躊躇しません。
交通事故は多くの問題が絡んでくることがありますから、失敗しないためにも専門家である弁護士に一度相談してみるべきです。仮に治療の段階であっても、アドバイスできることや後遺障害認定手続きの手伝いもできますので、早めに相談されることをおススメします。(弁護士中村友彦)
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