リスフラン関節を骨折や脱臼等して後遺障害が残存した場合

   交通事故で足を骨折したり脱臼することは多く、当事務所が相談を受けるものでもやはり、足の負傷に関するものが多いです。自転車やバイクといった交通事故にあった際、身を投げ出され、地面に直接打ち付けられて、足に大怪我を負ったりします。酷いものになれば、足の指等を切断となることもあります。

   このような交通事故で負う傷害の部位は多岐にわたるのですが、その中の部位の一つにリスフラン関節というものがあります。

1 リスフラン関節

  足の甲の真ん中あたりにある関節です。中足骨と立方骨・楔状骨の境界線に位置します。リスフラン関節自体の可動域は大したことはないですが、他の関節との関係で足の動きに重要な意味がありますし、足に体重がかかったときにその衝撃を和らげるクッションのような役割も果たします。

2 リスフラン関節に関する後遺障害

(1)切断を伴うようなもの

 自賠責保険の後遺障害等級認定では、足の切断について、リスフラン関節以上かどうかを一つの基準にして、下記のように規定しています。

等級

後遺障害の内容

労働能力喪失率

第4級7号

両足をリスフラン関節以上で失った

92%

第7級8号

1足をリスフラン関節以上で失った

56%

   なお、「リスフラン関節以上で失った」とは、足関節を残しリスフラン関節までの間で切断したものか、リスフラン関節で離断したもののいずれかをいいます。

(2)神経症状を伴うもの

 リスフラン関節の脱臼・骨折後に不正癒合等したことにより、体重を足にかけると痛みなどの症状が残存するような場合には、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として後遺障害12級13号か、「局部に神経症状を残すもの」として後遺障害14級9号に該当する可能性があります。

3 リスフラン関節に関する裁判例

  リスフラン関節後の後遺障害について、神経症状のような場合には慣れ等を理由として労働能力喪失率や労働能力喪失期間が争われたりします。

(1)神戸地裁平成22年5月11日判決(交民43巻3号555頁)

   神戸地裁平成22年5月11日判決は、交通事故で、両足リスフラン関節脱臼骨折や右足関節脱臼骨折などの傷害を負い、右足関節痛及び右足底の痛みの訴え並びに左足底及び左足外側の痛みにつき、それぞれ障害等級12級13号該当の「局部に頑固な神経症状を残すもの」という後遺障害を負い、併合11級の後遺障害等級認定がされた事案です。

 上記神戸地裁判決は、逸失利益については、事故前年の年収を基礎に、労働能力喪失率を2割、同喪失期間を30年として逸失利益額を算定しました。

(弁護士中村友彦)

 

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