交通事故によって損傷した車両を修理している間や、新車に買い替えるために必要な期間、日常生活等において車は欠くことができないものですから、事故車両の代わりに別の車両を借りて使用することがあります。この際にかかる代車使用料はすべて交通事故による損害として認められるとは限りませんが、一定程度の使用期間は損害として認められます。
1 代車使用が認められる期間
相当な修理期間(通例は1週間ないし2週間)または買い替え期間(新車が納車するまで)として相当な期間が認められます。相当な期間は一概にはいえず、部品の調達や営業車登録等の必要があるとき、交渉期間や検討期間も考慮され、長期間認められることもあります。
2 代車使用期間に関する裁判例
神戸地裁平成3年6月12日判決(交民24巻3号670頁)では、全損になるかの修理見積りを取得する期間について代車使用料を交通事故による損害として認めました。この事案では、原告が、車の修理費が金423万円余とその残存価格を超過するため、やむなく新車を購入することとし、新車は、昭和63年8月31日納入されたこと、新車納入までの間事故車の代わりの車両を使用できなかったこと、事故車の修理見積りは、昭和63年4月23日付でなされ、約1か月を要したこと、また、新車の納入は、発注後約2か月を要したこと等の事実を認めたうえで、本件事故と相当因果関係の認められる代車使用料は、本件事故後車の修理見積りが提出されるまでに要する期間、その後の検討期間及び新車の発注から納入までに要する期間等を勘案し、事故後120日間についてこれを認めるのが相当であるとして、交通事故による損害として認められる代車使用料は金300万円(2万5000円×120日=300万円)となるとしました。(弁護士中村友彦)