交通事故によって後遺障害が残った場合、後遺障害によって就労等が制限される結果、減収があった場合などには、後遺障害逸失利益として賠償請求ができます。この後遺障害逸失利益というのは、将来において得られたはずの利益ですので、現時点でそのまま受け取ると、受領者は得することになります。というのも、現在受領した金員を運用して、交通事故がなければ将来得られたはずの利益以上の利益をあげることが可能だからです。そこで、それを調整するために、現在から本来受領するときまでの間に付されるであろう利息分を控除(中間利息控除)することになります。その際に使用される控除方式がライプニッツ方式です。
1 ライプニッツ方式
将来取得する債権額を一定時期ごとに取得するものとし、利息計算に複利を使用します。昔は、東京ではライプニッツ、大阪はホウマンを使用していましたが、全国で統一され、現在大阪地方裁判所では、ライプニッツ方式が使用されています。
2 いつの時点から利息を控除するか
後遺障害逸失利益についての調整ですので、中間利息の控除は、原則として症状固定の時からされます。但し、平成14年11月11日名古屋地裁判決や平成16年9月6日横浜地裁判決のように、交通事故の時から利息を控除するとした下級審の裁判例もあります。
3 利率
民事法定利率の年5%で計算されます。平成16年7月16日札幌高裁判決のように、年3%としたものもありましたが、平成17年6月14日の最高裁判決は民事法定利率年5%と判断しました。
4 ライプニッツ係数
ライプニッツ係数は、日弁連交通事故相談センターや日弁連交通事故センター東京支部が発行する、いわゆる「赤い本」や「青い本」に早見表が載っていますので、通常それらを用いて、後遺障害の逸失利益を算定します。 (弁護士中村友彦)