就労可能年数

交通事故の損害計算で、後遺障害による逸失利益や死亡による逸失利益を計算する場合、交通事故がなければいつまで働けたかについて基準とするものを就労可能年数と言います。原則として67歳までとされます。 

1 就労可能年数 

原則として、67歳までであり、67歳を超える者については、平均余命の2分の1とされ、67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる者については、平均余命の2分の1とされます。 

2 就労の始期 

就労の始期については、交通事故の時、未就労であれば問題になります。原則として18歳ですが、大学卒業を前提とする場合は、大学卒業予定時として交通事故による逸失利益が計算されます。但し、職種、地位、健康状態、能力等により異なった判断がされる場合があります。 

3 平均余命

年金の逸失利益を計算する場合は平均余命で計算されます。簡易生命表は、厚生労働省が推計人口による人口や人口動態統計月報年計(概数)をもとに毎年作成する簡易な生命表をいいます。簡易生命表は、厚生労働省の公式HPでみることができます。 

4 就労の始期についての裁判例

岡山地裁平成16年6月22日判決では、交通事故により受傷後死亡した被害者(交通事故当時21歳の大学生)につき、被害者と同期入学の学部学生の7割超が学部卒業後大学院に進学予定であり、被害者も大学院進学を希望していたことから、交通事故がなければ大学を卒業する2年後から就労可能年限の67歳まで稼働した蓋然性が高いとして、大学院卒業予定時を就労の始期としました。 (弁護士中村友彦)

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