交通事故の損害賠償で、死亡逸失利益や後遺障害逸失利益といった損害は、将来において得るはずだった金員を現在の時点で受け取るので、損害以上に利益を得ていることになるため、現在から本来受け取る時点までの間に付されるであろう利息分(中間利息)について、控除されます。具体的な計算では、基礎収入に労働能力喪失率を乗じたうえで、労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数を乗じて算出されます。
1 中間利息控除係数
交通事故の損害賠償の算定にあたって使用されている中間利息控除係数は、ライプニッツ方式です。
ライプニッツ方式とは、将来取得する債権額を一定時期ごとに取得するものとし、利息計算に複利を用いるものです。外に利息計算に単利を用いるホフマン方式があります。 ライプニッツ方式とは、将来取得する債権額を一定時期ごとに取得するものとし、利息計算に複利を用いるものです。外に利息計算に単利を用いるホフマン方式があります。
2 ライプニッツ係数
日弁連交通事故相談センターが発行する「交通事故損害額算定基準」(青い本)、日弁連交通事故センター東京支部が発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(赤い本)にライプニッツ係数表は記載されています。
3 中間利息控除の基準時
中間利息控除の基準時は、症状固定時期とするのが通常です。後遺障害逸失利益は、症状固定時期から発生するためです。但し、交通事故の時を基準とする裁判例もあります。
4 後遺障害逸失利益の計算式
① 通常の場合
基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除係数
② 18歳未満の場合
賃金センサスによる平均賃金×労働能力喪失率×(67歳までの中間利息控除係数-18歳までの中間利息控除係数)
(弁護士 中村友彦)