原動機付自転車は「自転車」とついていますが、原動機を積み、車道の側端を主に走行し、交通事故が起きると重大な後遺障害が残存するような結果になることが、自動車と比べると多いです。原動機付自転車を運転するには、免許がいりますが、取得は簡単ですし、運転も手軽なこともあって、高齢者が運転中に交通事故にあい、既往症との関係で後遺障害等が交通事故と因果関係が争われることがあります。また、16歳で免許がとれることもあって、高校生でも加害者になることもあります。
1 原動機付自転車
原動機付自転車は、ミニバイクと呼ばれたり、オートバイの一種の扱いを受けたりしています。道路交通法では排気量50cc以下の原動機を備えた二輪車等とされています(排気量51cc以上は自動二輪車です)。道路運送車両法では、排気量125cc以下の原動機を備えた二輪車等とされますが、ここでは、道路交通法にいう原動機付自転車を基本とします。
2 原動機付自転車の保険
(1)自賠責保険
強制加入です。しかし、原付を自転車と同様に思っていたり、車検がないことから、自賠責保険の期限が切れているにもかかわらず忘れていて、自賠責保険を加入していない人がいます。刑事処分の対象にもなりますし、被害者が困ることになるので必ず入りましょう。
(2)任意保険
(1)他人のための保険
概ね自動車や自動二輪車(バイク)の保険と同様です。他人に対して損害を与えた場合に備えるものですが、被害者のためでもあります。大学時代に、同大学の大学生が原付事故をおこし、多額の賠償債務を負うことになったことが話題になったことがあります。
(2)自分のための保険
概ね自動車や自動二輪車と同じです。
(3)ファミリーバイク特約(原付特約)
同居の家族(本人も含みます)が自動車の任意保険に入っていれば、この特約をつけることができます。原動機付自転車だけでなく、自動二輪車(125cc以下)も対象です。弁護士費用も補償の範囲内とされているのが多いです。
3 原付(原動機付自転車)の過失割合
交通事故の過失割合については、別冊判例タイムズ16号『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』が通常使用されますが、そこでは、原付は「単車」として、自動二輪車と同様に扱われています。自動車同士の交通事故と比べて、若干、原付側に有利なように修正がされています。ただし、原付には二段階右折などの自動車や自動二輪車(バイク)とは異なる特有の交通ルールがありますので、過失割合を考えるにあたってはこの点を考慮しなければならないことがあります。(弁護士中村友彦)
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