交通事故にあった場合、その程度によれば、被害者は病院に通院することを余儀なくされ、仕事やその他の用事に支障がでて、交通事故がなければできたであろうことをキャンセルしなければならなかったりします。交通事故の影響でキャンセルしなければならなかったためにかかった費用が交通事故の損害と認められるかが問題となります。
1 名古屋地裁平成17年7月13日判決(交民38巻4号947頁)
名古屋地裁平成17年7月13日判決は、交通事故で頚椎・腰椎捻挫、左膝・左足関節打撲の傷害を負い、骨折等の異常はなく、明らかな神経学的所見も認められないにもかかわらず、継続的に疼痛等の自覚症状を訴えていた事案です。上記名古屋地裁では、交通事故後に結婚式を予定していた場合に、新婚旅行及びブーケ代のキャンセル料(合計13万800円)を交通事故による損害と認めました。
上記名古屋地裁の事案で他に特徴的なのは、結婚式については、被害者は加害者側の保険会社の担当者から支払いを拒否されたため予定通りに行ったところ、被害者の気質的な要因も考慮したうえで、交通事故による受傷の治療と結婚式の準備が重なり、そのことが被害者の治療の長期化につながった面も否定できないとして、過失相殺の規定を類推適用して2割の素因減額をしました。(弁護士中村友彦)