高速道路は、自転車や人は通行できず、自動車が高速度で走行しています。高速道路上で、自動車は高速度で移動してることから、一度交通事故が生じれば、重大な結果になる可能性が高いです。そして、高速道路では、その特性から、道路交通法上重い規制が定められており、高速道路での交通事故の過失割合は、一般道路における交通事故によるものとは異なり、特有の考慮要素が存在します。
1 一般道路とは異なる扱い
交通事故の過失割合についての基準を示した別冊判例タイムズ16号319頁では、次のように高速道路上でも過失割合について記載しています。「時速80キロメートルを超える高速度での走行が許容される場合があり、事故の結果が重大となる蓋然性の高い高速道路においては、法に従って走行することが強く要求されることから、法に従わないで走行した場合の過失割合を一般道路の場合よりも重く評価している」として、道路交通法といった規制を重視しています。
2 高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例
道路交通法では、一般道路とは異なった取扱について特に規定を設けています。以下、一部例を挙げてみます。
(1)高速道路特有の規定
①道路交通法75条の8 「駐停車の原則禁止」
高速道路上で駐停車することを原則禁止するものです。高速道路では、自動車は高速度で走っているのですから、駐停車があると重大な結果がおきかねず当然でしょう。
②道路交通法75条の5 「横断・転回・後退の禁止」
高速道路で、横断・転回・後退を禁止する規定ですが、高速道路上でそれらの行為をすれば大惨事になりかねません。
(2)高速道路で特に厳しく規定されているもの
一般道路でもありますが、高速道路で特に厳しい規定が置かれているものとして車間距保持離義務違反があります。一般道路と高速道路の比較は以下のとおりです。
①高速道路
道路交通法119条1項1号の4は、高速道路上での車間距離保持義務違反の罰則について、法定刑を3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金としています。
②一般道路
道路交通法120条1項2号は、一般道路上での車間距離保持義務違反の罰則について、法定刑を5万円以下の罰金だけを定めており、懲役刑を定めていません。
高速道路では、高速で自動車等(自動二輪車を含む)が走行し、重大な結果につながる危険が高いことから、法の規制が厳しく、それが高速道路上での交通事故の過失割合にも影響を与えます。したがって、高速道路における交通事故の過失割合を考える際には、特例の定めを念頭におかなければなりません。(弁護士中村友彦)